ヒメツルソバ日記

明るい気持ちになった物事を綴ります

『noma ノーマ、世界を変える料理』を観て③

(②からつづいています)


ノーマは、2010年、11年、12年と、3年続けて世界ベストレストランの1位に選ばれていました。2013年2月、ノーマで食事をした63名がノロウイルスに感染したのです。デンマーク保健委員会は原因を、体調不良のスタッフ、もしくは不衛生な洗い場だと発表しました。


保健委員会の聴き取り調査時、ノーマの料理長であるダニエルさんは、ムール貝の話をしました。ムール貝、他にもカキやアサリなどの二枚貝は、海水をろ過するのでノロウイルスを蓄積しやすいのだと。けれど委員会の職員は、“原因はムール貝じゃない”と断言します。そこでムール貝を検査に出してみると、ノロウイルスが検出され、保健委員会も再調査することになったのです。


食中毒を出したノーマに来るお客さんはいなくなりました。追い打ちをかけるように、何年も前にノーマで食事をして腹を壊したことを新聞に売られたくなければカネを返せ、というようなメールが日に何通も届いたというのです。同じ年の3月、三ツ星を逃します。4月には、ベストレストランの首位から陥落しました。


かつてレネさんが二ツ星を取ったとき、父親に電話で報告すると、父は一瞬黙ってから“そうか、これで家族を養えるな”と言ってくれました。その言葉のおかげで、レネさんは星を取ることに冷静になれた気がするそうです。


ノーマ料理長、ダニエルさんが店をやるうえでの大変なことを話されています。それは、ランチを45名分、ディナーを45名分準備することです。加えて、仕入れ業者が熱意を持って店の注文に応えてくれないことに落胆するのだといいます。たとえばノーマでは、冬にブルーベリーは使いません。実際に地元では採れないからです。けれど旬の季節に注文しても、イタリア産が届けられたりするのです。


(④につづきます)