ヒメツルソバ日記

明るい気持ちになった物事を綴ります

『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』を観て ②

(①からつづいています)


アラゴルンは、指輪をフロドに託して、自らは置かれた場所で最善を尽くしました。ゴンドールに向けてローハンを出発する前に、エルフのエルロンド卿がアラゴルンを訪ねました。古の戦いで折れた剣(イシルドゥアがサウロンの指輪をはめた指を切り落とした)の破片を鍛え直し、手渡してくれたのです。同時に、サウロンに追随する新たな軍勢の存在を教えてくれ、それに対処する方法も授けてくれました。わたしは人間に望みを与えた。エルロンド卿の言葉にアラゴルンは、わたしは自分に何の望みも残していない、と返すのでした。


また、モルドール国に足を踏み入れたフロドとサムでしたが、滅びの山との間には1万のオーク兵がいました。アラゴルンは、自分たちの軍勢ではサウロンの軍に太刀打ちできないのを承知のうえで、モルドール国の入り口、黒門へ軍隊を進めることを提案します。モルドールの軍をおびき出し、サウロンの“目”をフロドからそらすためでした。黒門の前に集結した仲間、ゴンドールとローハンの兵士に向けてアラゴルンが言います。人間の勇気がくじけて友を見捨てる日が来るかもしれぬ。だが今日ではない。今日は戦う日だ!かけがえのない、すべてのものに懸けて――踏みとどまって戦うのだ、と。恐怖心は皆、同じです。フロドのために。アラゴルンはそう言って一人、馬を前に進めたのです。


アラゴルンは、指輪の魔力と、人間としての自らの弱さを知っていました。


指輪を託されたフロドが、指輪の魔力に自分自身でもちこたえられたかというと、そうではなくて、サムの励ましや助けがありました。そして、かつてガンダルフがフロドに話した、「あのゴラムも善か悪かは分らぬが、役目を持っておる」この言葉のとおりになりました。


物語の最後に、フロドがサムに語りかける言葉があります。僕の大事なサム、二つのものに裂かれず――欠けることのない一つのものとなって――多くのことを楽しみ、よい人生を送ってほしい。君の物語はまだ続くのだ。これは、無二の親友にかけた言葉であって、親が子どもに遺すようなものでもありました。